金融機関の不動産業向け融資の膨張が続いています。
2014年に初めて1989年のバブル期の金額を越えた不動産向け融資額は、2016年には12兆円超という過去最高を記録しました。
融資額が増えた背景の一つは相続対策を目的として建設されたアパートの増加。2015年の税制改正を契機に、新たに対象となる地主達を中心にアパート建設ラッシュが起こっていますが、その一方、将来の人口減が現実視されている中でのアパート増加に不安の声も上がっています。

田畑や更地より、賃貸住宅を建てたほうが相続税の課税評価額が下がる仕組みを利用した相続対策ですが、不動産業者が将来的な需要や賃貸競争力に疑問がある立地でも次々とアパートを建てさせたため、郊外の一部地域ではすでに賃貸需要が飽和し空室が埋まらない事態になっているようです。
行政も問題視して、アパート建設地域について制限する規制を出す埼玉県羽生市のような例も出ていますが、全国的にはまだ対応できていない自治体がほとんどで、人口の減少とあわせて将来のインフラの維持が懸念されています。

空室率の上昇は、アパート建築を手掛けた業者の多くが提案していたサブリースの問題点も浮き彫りにしました。
サブリース契約の更新による保証賃料の大幅減額や契約解除などでオーナーが資産を維持し続けることが困難になり、結局、大幅な損益を出して不動産を手放すといった事態が増えています。


不動産は値上がり値下がりといった投資の側面と、賃貸経営という事業の側面を持っています。将来的な値動きは景気状況に左右されるため予想しきれませんが、駅徒歩10分以内のような好立地で、ワンルーム・1Kといった比較的貸しやすい間取りであれば、将来的な空室や賃料下落のリスクを最小限に抑えることが可能です。

これからの不動産投資のキーワードの一つが「二極分化」と言われています。バブルの頃にように不動産ならどこでも値上がりするのではなく、ターミナル駅周辺や再開発地区など、将来性が見込めるエリアに投資が集中し、そうでないエリアとの差別化が進んでいくと予想されています。

利益を出すための不動産投資で損をしないために、将来を見据えた現実的なシミュレーションが欠かせません。

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